覚えること
- アルツハイマー型認知症では、アミロイドβ(Aβ)の沈着と異常リン酸化タウタンパクの蓄積がみられる。
- Aβ → 神経細胞外 → 老人斑を形成する。
- 異常リン酸化タウタンパク → 神経細胞内 → 神経原線維変化を形成する。
- 症状は中核症状とBPSD(行動・心理症状)に分けて整理する。
- ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンは中枢性コリンエステラーゼ阻害薬である。
- コリンエステラーゼ阻害薬はAChの分解を抑制 → シナプス間隙のACh濃度↑により認知症症状の進行を抑制する。
- メマンチンはNMDA受容体を非競合的に遮断する。
- メマンチンは中等度~高度のアルツハイマー型認知症に用いられる。
アルツハイマー型認知症とは
アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が徐々に障害されることで認知機能が進行性に低下する神経変性疾患である。
病理学的には、主に次の2つが重要である。
- アミロイドβ(Aβ)が神経細胞外に沈着 → 老人斑
- 異常リン酸化タウタンパクが神経細胞内に蓄積 → 神経原線維変化
しもっちAβ → 外、タウ → 内
この内・外を入れ替えた選択肢は作りやすいから、場所までセットで覚えておこう。
アルツハイマー型認知症の症状
中核症状
中核症状は、神経細胞の障害や脳萎縮そのものによって生じる認知機能障害である。
- 記銘力障害
- 見当識障害
- 実行機能障害
- 理解・判断力低下
- 失語
- 失認
- 失行
BPSD(行動・心理症状)
BPSDは、認知機能低下などを背景として二次的に現れる行動・心理症状である。
⚫️行動症状
- 睡眠障害
- 暴言・暴力
- 徘徊
- 拒絶
- 過食・異食
- 不潔行動
⚫️心理症状
- 不安・焦燥
- 幻覚
- 抑うつ
- 妄想



記憶・見当識・判断力 → 中核症状
徘徊・暴力・幻覚・妄想 → BPSD
症例問題では症状からどちらかを見分けることが大事だよ。
アルツハイマー型認知症治療薬
代表的な治療薬は、大きく次の2つに分けて整理する。
- 中枢性コリンエステラーゼ阻害薬
- NMDA受容体拮抗薬
中枢性コリンエステラーゼ阻害薬
代表薬には、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンがある。
これらは中枢のコリンエステラーゼを阻害し、アセチルコリン(ACh)の分解を抑制する。
その結果、シナプス間隙のACh濃度が上昇し、コリン作動性神経伝達を増強することで認知症症状の進行を抑制する。
ChE阻害薬
コリンエステラーゼ阻害
→ACh分解↓→シナプス間隙のACh↑
→コリン作動性神経伝達↑→認知症症状の進行を抑制
これらの薬物は第三級アミンであり、血液脳関門を通過して中枢作用を示す。
副作用
ACh作用が増強されるため、副交感神経興奮作用を想像すると副作用を理解しやすい。
- 悪心・嘔吐
- 食欲不振
- 腹痛
- 徐脈
- 房室ブロックなどの不整脈
- めまい
- 傾眠



胃腸が動く → 悪心・腹痛
心臓M2作用↑ → 徐脈
副交感神経興奮薬の知識とつなげよう。
⚫️ドネペジル
ドネペジルは、中枢性コリンエステラーゼ阻害薬である。
中枢のChEを阻害してACh濃度を上昇させ、認知症症状の進行を抑制する。
- アルツハイマー型認知症に用いられる。
- レビー小体型認知症にも用いられる。
- 1日1回投与する。



レビー小体型認知症にも用いるまでセットで押さえておこう。
⚫️ガランタミン
ChE阻害作用に加えて、ニコチン性アセチルコリン受容体のアロステリック部位に結合する。
その結果、ニコチン性ACh受容体の感受性を高めることが特徴である。
- 軽度~中等度のアルツハイマー型認知症に用いられる。
- 1日2回投与する。
- ChE阻害作用+ニコチン性ACh受容体感受性増大を有する。



ガランタミン → ニコチン性ACh受容体の感受性↑この個別作用が国試で見分けるポイントになるよ。
⚫️リバスチグミン
ChE阻害作用に加えてブチリルコリンエステラーゼ(BuChE)も阻害する。
その結果、AChの分解を抑えてコリン作動性神経伝達を増強する。
- 軽度~中等度のアルツハイマー型認知症に用いられる。
- 貼付剤として使用する。
- 1日1回貼付する。
- BuChE阻害作用を有する。



さらに、リバスチグミン → BuChEも阻害
剤形と作用機序の両方で見分けられるようにしよう。
中枢性ChE阻害薬を比較しよう
- ドネペジル → レビー小体型認知症にも使用、1日1回内服
- ガランタミン → ニコチン性ACh受容体感受性↑、1日2回内服
- リバスチグミン → BuChE阻害、1日1回貼付



ドネペジル → レビー小体型
ガランタミン → ニコチン受容体
リバスチグミン → BuChE+貼付
この1個ずつの特徴を持っておくと、かなり選択肢を切りやすいよ。
あと、ドネペジルは軽度〜高度のアルツハイマー型認知症に用いられますが、ガランタミン、リバスチグミンは高度に用いられないこともチェックしておこう!
NMDA受容体拮抗薬
メマンチン
メマンチンは、NMDA受容体を非競合的に遮断する薬物である。
アルツハイマー型認知症では、グルタミン酸によるNMDA受容体の過剰な活性化が神経細胞障害や記憶・学習機能障害に関与すると考えられている。
メマンチンはこの過剰なNMDA受容体活性化を抑制することで、神経保護作用や記憶・学習機能障害の抑制につながる。
主に中等度~高度のアルツハイマー型認知症に用いられる。
また、中枢性コリンエステラーゼ阻害薬と併用されることもある。
メマンチンは腎消失型薬物であり、半減期も比較的長い。
そのため、腎機能低下患者では蓄積に注意する必要がある。



症例で高齢者+腎機能低下+メマンチンが出てきたら、蓄積を考えよう。
ChE阻害薬とメマンチンの違い
この2系統は、作用する神経伝達系がまったく異なる。
- ChE阻害薬 → AChを増やす
- メマンチン → グルタミン酸によるNMDA受容体の過剰活性化を抑える



ドネペジル・ガランタミン・リバスチグミン → ACh↑
メマンチン → NMDA遮断
作用機序の入れ替え問題に注意だよ。
あと、ChE阻害薬を併用することはないけど、ChE阻害薬とメマンチンは併用されることがあることも試験で狙われやすいこともチェックしておこう!
国家試験での狙い目
- Aβ → 神経細胞外 → 老人斑
- 異常リン酸化タウ → 神経細胞内 → 神経原線維変化
- 記銘力障害・見当識障害 → 中核症状
- 徘徊・幻覚・妄想 → BPSD
- ドネペジル・ガランタミン・リバスチグミン → 中枢性ChE阻害薬
- ChE阻害 → ACh分解↓ → ACh濃度↑
- ドネペジル → レビー小体型認知症にも用いる
- ガランタミン → ニコチン性ACh受容体感受性↑
- リバスチグミン → BuChE阻害+貼付剤
- メマンチン → NMDA受容体非競合的遮断
- メマンチン → 中等度~高度+腎消失型



AChを増やす3剤
→ ドネペジル
→ ガランタミン
→ リバスチグミン
グルタミン酸の過剰興奮を抑える1剤
→ メマンチン
まず3対1で分類してから、それぞれの個別特徴を覚えると整理しやすいよ。
1問1答で確認しよう
Q1.アルツハイマー型認知症で神経細胞外に沈着するタンパク質は?
→ アミロイドβ。
Q2.神経細胞内に蓄積する異常タンパク質は?
→ 異常リン酸化タウタンパク。
Q3.中枢性ChE阻害薬を3つ挙げると?
→ ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン。
Q4.ChE阻害薬によりシナプス間隙のACh濃度はどうなる?
→ 上昇する。
Q5.レビー小体型認知症にも用いられる薬は?
→ ドネペジル。
Q6.ニコチン性ACh受容体の感受性を高める薬は?
→ ガランタミン。
Q7.BuChEを阻害する薬は?
→ リバスチグミン。
Q8.貼付剤として用いられるアルツハイマー型認知症治療薬は?
→ リバスチグミン。
Q9.メマンチンが遮断する受容体は?
→ NMDA受容体。
Q10.メマンチンはNMDA受容体を競合的・非競合的のどちらで遮断する?
→ 非競合的。



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